大規模災害時のインターネット継続利用実証研究
活動の概要
DNSはインターネットの名前解決の仕組みです。信頼性向上・耐障害性の強化のために、これまでもさまざまの技術が導入されてきました。その技術の一つとして、IP Anycast技術を用いた地理的分散配置があります。
JPRSではこれまで、IP Anycast技術を用いてDNSの信頼性向上・耐障害性の強化を図るために積極的な研究を行ってきました。その成果を活かし、「.jp」においても、IP Anycast技術を導入し、DNSサーバーを広域に分散配置することで、DNSの系全体としての信頼性向上を図っています。
しかしながら、大規模災害などの緊急事態発生により特定地域がネットワーク的に孤立し、ルートサーバーやトップレベルドメイン(TLD)のDNSサーバーへの到達性が失われる状況下においては、特定地域内の閉じられたネットワーク内でのドメイン名の名前解決が不可となり、特定地域内のインターネットサービスの提供に致命的な影響を及ぼすことが考えられます。このような緊急事態発生時においても、ドメイン名の名前解決を継続的に提供し続けることは、DNSの信頼性向上に効果があるだけではなく、インターネットサービスの継続的な提供にも寄与するものと考えます。
本研究では、「.jprs」のDNSサーバーをJPRSの管理外ネットワークであるISP内のネットワークに設置することで、JPRSとISP間のネットワークが分断される状況下においても、TLDのドメイン名の名前解決が継続的に提供可能となることを検証しました。
活動の体制
本研究活動は、以下の9社による共同研究です。
参加組織名 | 略称 | URL |
---|---|---|
北海道総合通信網株式会社 | HOTnet | http://www.hotnet.co.jp/ |
東北インテリジェント通信株式会社 | TOHKnet、トークネット | http://www.tohknet.co.jp/ |
北陸通信ネットワーク株式会社 | HTNet | http://www.htnet.co.jp/ |
株式会社ケイ・オプティコム | K-OPT | http://www.k-opti.com/ |
株式会社エネルギア・コミュニケーションズ | エネコム | http://www.enecom.co.jp/ |
株式会社STNet | STNet | http://www.stnet.co.jp/ |
株式会社QTnet | QTnet | http://www.qtnet.co.jp/ |
沖縄通信ネットワーク株式会社 | OTNet | http://www.otnet.co.jp/ |
株式会社日本レジストリサービス | JPRS | https://www.jprs.co.jp/ |
研究報告書
2017年10月31日 | .jprs DNSのローカルノード設置の技術実験 研究報告書 |
発表・論文リスト
DNS Summer Day 2017
場所: 東京都中央区
主催: 日本DNSオペレーターズグループ
日付: 2017年6月28日(水)
タイトル: 災害から考えるDNSと地域インターネットサービス
関連リンク:
APRICOT 2017
場所: ベトナム ホーチミン市
主催: APRICOT
日付: 2017年2月28日
タイトル: TLD Anycast DNS servers to ISPs
関連リンク:
JANOG 38
場所: 沖縄県那覇市
主催: 日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ
日付: 2016年7月7日(木)
タイトル: 大規模災害時のインターネットの継続提供への取り組み
関連リンク:
8th CENTR R&D Workshop
場所: ベルギー ブリュッセル
主催: CENTR
日付: 2016年5月17日
お知らせ
- 2017年10月31日 [プレスリリース]JPRSおよび電力系通信事業者8社が共同研究の成果を公開
- 2017年10月31日 [報道関係者向け参考情報]大規模災害時における、DNSサービスの継続性確保のために
- 2016年01月18日 [プレスリリース]JPRSおよび電力系通信事業者7社による共同研究の実施
- 2015年07月13日 [プレスリリース]JPRSが新gTLD「.jprs」でDNSの耐障害性強化に向けてISPとの共同研究を開始